初見の新鮮な自分の感想をとりあえず残しておこうと思ったので、布団から出てきました。
…前提として、自分は昭和生まれの日本アニメオタクなので、アメリカ、Netflixスタイルのコンテンツ制作及び配信システムには不慣れというか、相性が悪いというか、正直あまり好きではない…というのがあります。それはネトフリ配信決定の情報が出た時点で判ってはいた事ではありますが、改めて「…合わねぇなぁー…」と思いました。いや、多分完全令和新作でネトフリシステムにしっかり合わせて作られたコンテンツもあるでしょうし、それならそこまで合わないと感じたりはしないとは思いますが。例えば『PLUTO』とか。1話60分前後(全8話)と長くて最初びっくりしましたがあれはあれでよかったですね…TVシリーズじゃなくてOVA的な作りで正解だと思ったし、満足度高かったです。
まぁ、それで、所謂「いかにも」ネトフリコンテンツ仕草みたいな絵、演出に関しては自分向けではないのでその効果がいかほどにあるのか私には全く予測がつかないのでなんともいえないなぁ…というのがまずひとつ。あるといいですね、良い方向に効果…。この、「なんかよくわからない謎用語?設定?がバラバラ出て来て、とりあえずこの作品ではこういう感じで理解しといて!的な説明もなく、視聴者側の知識に頼りっぱなしにするでもなく、結局回収もしないまま終わる」のが本当に苦手で、わかんないままスルーしていても支障がない「なんかカッコイイ用語」なだけのものなら別にいいんですが、そうじゃなさそうなものはオタクなので本当に…スルーが出来ないので……「なんか賢そう」「最後の最後にビックリ展開!」な絵と演出、カッコイイよねわかるよ。
この作品の1番の「謎」は「埋れ木一郎は何者なのか?」だと思いますが、「悪魔くん」という作品に果たしてそんな謎が必要なのか?という話はさておき、コンテンツの構成的にこの謎が明かされるのはクライマックスもクライマックス、最終回付近であるべきですよね。なので、ネトフリの「好評だったら次シーズン制作システム」とは最悪に相性が悪く、制作側が「次シーズンで続きを作りたいなぁ」と思っていれば最初のシーズンではこの一番おいしい謎の核心はノータッチでいなければならなくなる訳で、結果思わせぶりな絵をばらまくだけになりますよね…。「本来4クール構成くらいの構想があって、とりあえず1クール分作って出しました」っぽさが強すぎて、昭和時代の風呂敷まとめきれなかったジャンプ10週突き抜け漫画みたいだ、…という印象でした。(※最近の突き抜け漫画は割と連載分で纏めきるし、増刊号や+で纏めきれなかった分を描かせてもらえるようになったので良い時代になりました)ちょっとチグハグで描き切れてなかったですよね、ウモイチと3世くんの関係。尺が絶望的に足りないから点々と結果だけ絵として出してそこに至る経過を見せて来ない、点が線で繋がっていない演出というか…エモーショナルな涙流せばなんか感動的になると思ったら大間違いやぞ的な。「尺が足りなかったんだね」と好意的に観てはいますが、裏腹に「もうちょっとどうにか出来たやろ…」という気持ちも沸きました。(エモーショナルな涙自体はOKです。様式美と思えば)
個人的に、しげるコンテンツに「人間は…愚か…」を求めていないので、そこはまぁ、さておき。
どうしても「先代(真吾さん)がいるのに、二代目悪魔くんが存在する」という設定が厳しい、と思いました。
多分、前作アニメや原作を摂取してない視聴者には特に問題のない設定部分だとも思うんですが、やっぱり、一万年にひとりかどうかはさておき、悪魔くんはひとりである事がロマンだと思うんですよね…先代達がいるのに、なんかピンチなのに、助けに来ないのかよ…!ってどうしても思ってしまうし、今回の主人公達を活躍させるために弱体化してしまったり、なんか…こう、バトルコンテンツの続編で前作メインキャラ達も再登場するけど軒並み役立たずのザコレベルに落とされてしまってガッカリする、みたいなの嫌じゃん…?というか。ひとつの時代にふたりいらないんですよ、悪魔くん。平成アニメ版に思い入れある人は嫌かもしれないけど、いっそ真吾さんがキッチリ「ファウスト博士(三代目)」を襲名していて「ファウスト」って呼ばれていた方がスッキリしたかもしれない…大体、ファウスト博士が居ないのも説明無し(そのくせ博士の事はセリフ等で出てくる)だし、ソロモンの笛のシステムどうなってんだよ…(ウモイチに対して光ったの誤作動=悪魔くんと認識しての光ではなかったんじゃね?)だし、この辺も丸ごとウモイチの出自に絡む最大の謎なので、このコンテンツの最終回まで明かされる事はないと思うと「…ぁー……」ってなるし。
もしかすると「別に謎というほどの事でもないじゃん?」「別にふたりいてもいいよね(エヘヘ)」くらいのカジュアルなアレで特にでっかい謎もなんもないのかもしれないけども。真吾さんが小さいままなのを総監督に「変えたくなかったからw」とか言われてしまうと何も信じられない…ってなるというか。身も蓋もない話、これが鬼太郎レベルで新作メデイアコンテンツが生まれて都度設定もキャストもビジュアルも異なる「悪魔くん」が作られてきていて、今回のウモイチが「そのうちのひとつ」くらいの立ち位置なら「まぁ1作くらいこういうのがあってもいいか」という気持ちにもなるかもしれないですが、…埋れ木から数えても30年ちょいぶりですよ。次のチャンスがいつあるか判んないのに、なぁ?やっぱり「蒼井優版ドラマ悪魔くん」を制作してハードルをめいっぱい下げておくべきだったのか。
…後はそうですね、…このネトフリアニメを見た後、どうやって原作作品への導線を引いたらスムーズなのか、が全く判らない…だって、原作にはウモイチ&3世くんはいないじゃないですか…このアニメ観て「いいわね!」って思った視聴者って普通に「ウモイチ&3世の出てくる『原作』はどれかしら?」って思うんじゃないですかね。…ねぇ。
そこに、しげるファンとしては「主役の設定とか全然違うけど、この悪魔くんもイイですよ!」ってお勧めしたい気持ちはあるけど、それは、ネトフリを初「悪魔くん」体験として興味を持った人に求められているモノではないのでは…?って思うんですよねぇ……。いや…マジな話ね……それが一番厳しいな、…って、思いました。一応前作になるのでボンボン版はお勧めしやすいかな。
幼ウモイチが、ソロモンの笛を「みてよストロファイア、ひかってる」って掲げたらストロファイアくんが無情に塵になったのは可哀想でちょっと面白かったです。
あ!あとね〜〜!!
マジで「このテイストと作画でノストラアニメ観たかったな!」って思いました!
アイツは多分これくらいのドライと言えば聞こえの良い軽薄さ&人間は愚かノリで作っても許されると思うんですよね、元が元なので。(真顔)
ノストラさぁ…多分、キャラクター造形的に1番キャッチーで貴重な「水木プロ最後の『悪魔くん』漫画」なのに、キャラ設定や色々がアレすぎてグッズにも出来ないじゃないですか…いや個人的にグッズが欲しいとかじゃなくてですね(多少はそういう気持ちもあるけど)、どうにか新しい商品に出来れば金になるじゃないですか…長田幻治じゃなくて…!!(大の字に寝転がる)