原作妄想語り -ゲンサクモウソウカタリ-

比較的真面目に考えた(8)

(8)『悪魔くんの悪魔なんでも入門』の悪魔たち(2023.12.10)

悪魔くんの悪魔なんでも入門

小学館入門百科シリーズ
1895年2月10日発行(初版第一版)/A5変形/181ページ
《Amazon》《日本の古本屋》

悪魔くん魔界大百科

小学館クリエイティブ
2017年3月4日発行(初版第一版)/A5変形/183ページ
《Amazon》《7net Shopping》《紀伊国屋》《楽天》


ゲゲゲ忌のイベントや、ネトフリ悪魔くん関連の企画として毎週Youtube配信されているアフターラジオなどで名前が挙がるようになった『悪魔くんの悪魔なんでも入門』。 現在も『悪魔くん魔界大百科』と改題されて入手可能な一冊です。 「まだ新刊で買える…」と後回しにしていて『魔界大百科』の方は最近ようやく購入しました。内容99.7%そのまま復刻版になります。
『悪魔なんでも入門』の時点で当時としてはかなり本格・専門的な内容がしれっと児童書の体で詰め込まれており、さながら「児童向け『魔法ーその歴史と正体』」 とも言えるようなトンデモナイ本なのですが、その事に気付いたのはセリグマンの『魔法』を読んだ時。すげぇ、この児童書の7割(体感)がセリグマンで出来てやがったのか…!

そんな『悪魔なんでも入門』、まだセリグマン『魔法』を入手する前に「あれ?」と思った事がありました。
「第一章・世界の悪魔たち」に掲載されている2体目「アゼザル」。……「アゼザル」?(誤植かな?)(アマ「エビ」の件もあるし…)
この頃、丁度コラン・ド・プランシー『地獄の辞典』が底本の10分の1の縮尺翻訳版とはいえ日本語版が出版され、多くの悪魔の名前と絵を知る事が出来るようになり、その中に「アザゼル」が掲載されていた所から「もしかして『悪魔なんでも入門』と『地獄の辞典』に載ってる情報に差異があるのでは?」と気になり、ひとつずつ確認したんですよ。…これが、結構違うんですよね…!埋れ木ファンの間では、アンドレアル先生が『地獄の辞典』ではアドラメレクである、とか割と知られているんじゃないかな、と思います。当時暇を持て余してリスト化したものが残っていました。抜けがあるかもしれませんが、誰かの何かの役に立てばと掲載します。


※『地獄の辞典』は1990年講談社版を参照しています。
※水木しげるの著作は「絵の参照元」「解説文(内容等)の参照元」が別である事も多いですが、「絵の参照元」を基準にしています。
【表を別ウインドウで開く/Click

いや、違いすぎるでしょ!???
思ってたより『地獄の辞典』未掲載の悪魔多かった…原著までは確認出来てないのであくまで日本語版掲載範囲ですが。
『悪魔なんでも入門』には参考文献が掲載されていて、その中の佐藤有文『悪魔全書』(1974年)から引用してるのではないか、と目星はついていたものの気付いた時には知る人ぞ知る入手困難絶版本となっていて確認する事も出来なかったんですよね…2018年に復刻版が出るまでは。ホントびっくりだよ、復刊ドットコムありがとう! もう1冊、噂に聞いた佐藤有文『世界妖怪図鑑』(1973年)も2016年に復刻版が出るという奇蹟のお陰で比較リスト内容が一新されました。ドーン。


『悪魔全書』『世界妖怪図鑑』はどちらも復刊ドットコム発行の復刻版を参照しています。
※水木しげるの著作は「絵の参照元」「解説文(内容等)の参照元」が別である事も多いですが、「絵の参照元」を基準にしています。
【表を別ウインドウで開く/Click

…凄い、ほぼ完璧にリストが埋まる〜気持ちいい〜!流石、参考文献書籍〜〜!!
ケルベロスやバジリスク、ヒュドラーとかの参照元絵が謎なままなんですが私にはもう…限界だ…。しげる書籍のケルベロス絵、絶対元絵がありそうなんだけど。
私は最初に手に取った妖怪妖精悪魔関連書籍がしげる著作だったので、他の書籍にあまり触れない子供時代を過ごしてきてしまったのですが、勿体ない事をしたな…とちょっと思っています。クラスの男子が学校に持って来ていためっちゃ怖い幽霊妖怪本とかは借りて読んでたんですが。(あまりに怖すぎる本を買ってしまって「怖いから貰って!家にあるだけで怖い!」と押し付けられた本とかあったな…引っ越しの時に手放してしまったけど)

ここまで『地獄の辞典』『悪魔全書』『世界妖怪図鑑』を確認して、どの本にも載っていなかった悪魔残り4匹。(体?人?)

・スクォンク
・チョンチョン
・ファスティトカロン
・ペリュトン


参照元絵は全然判らないんですが、解説文の方は参照元がはっきりしています。
ホルヘ・ルイス・ボルヘス『幻獣辞典』(晶文社/1974年〜)です。4匹全ての解説文はほぼそのまま(ペリュトンの「以津真天」と比較して書かれた箇所の参照元は不明)、現在販売されている版も同じ翻訳者が手がけたものです。挿絵は都度ついたり、増えたり、変わったりしています。「幻獣」に関しては、別のアニメ作品の影響で、しげるより先にボルヘスを手に取ったキッズだったんですよ…。