原作妄想語り -ゲンサクモウソウカタリ-

比較的真面目に考えた(5)

(5)「ノストラ」の十二使徒達を真面目に考えてみる(2021.01.09)

(「*未来契約*」36ページより/2008年8月16日)→漫画部分WEB公開はこちら。


メシアに巡り会う順番について考えてみる。

 

★集まれ、我らが仲間よ(シリーズ違う)

ノストラダム大予言における十二使徒の存在理由の薄さ(…)は、ほぼ全員が妖怪という事よりも、それぞれがどんな風に悪魔くん=山田と巡り会ったのかが判らない…というか想像し辛いのが原因じゃないかなー、と思うのです。「悪魔くん」という作品にとって十二使徒というキーワードは重要なポイント、のはずなんですが…ページの都合もあっただろうし。

 

ファウスト博士との巡り会い?

まずファウスト博士の存在を描いていないので、ノストラ版の山田は最初から全力で悪魔くんです。ここら辺って他のシリーズと違う印象を受ける原因のひとつだと思うんですよ。
仕方が無いのでパラレルとは承知ですが、(全)版を参考にするしかないかなぁと。それでもあの時点で山田が何歳なのか判らないので微妙ですが…少なくとも小学校入学以降と仮定して、ほぼ同時にメフィストとも出会う訳ですよね。十二使徒とは、その後で間違いないかなー?

 

★カエル男との巡り会い?

で、今回本作ってて改めて沸いた疑問なんですがノストラ版のカエル男っていつ山田と巡り会ったんだろうー。松下版のカエル男は比較的ハッキリしているのですが、まさか松下と同じく山田が復活させた存在とは思えない(というか考えにくい/汗)…となると山田と出会った時点で既に彼はカエル男だったのか、彼の忠誠心は山田がメシアという事実から「のみ」来るものなのか、というかそもそも山田版のカエル男は人間?と根本的な所から疑う事を始める必要がある予感がするのです。…多分人だとは思うけど。

仮説としてメフィスト召喚の際に山田と一緒に呪文を唱えたのは貧太くんではなく、カエル男だったと考えてみました。そうなるとファウスト博士よりもメフィストよりも先に山田の傍にいた事になるんですが…!

 

★使徒に順番はないけれど。

とりあえず「最後がダニエル」という事が判っていれば問題ないのですが(…)、ちょっとだけ、最初に使徒になったのは誰なのかな、と気になったりしたのですよ。やっぱり使徒の中でもメフィストとカエル男って別格だと思うので。(ダニエルは規格外)


 

以上、12年前に同人誌に描いた与太話を再録しました。(今読んで若干日本語が怪しい箇所は修正しました)

これも「初代ショック前」の文章なのですが、書いた時点では「マガジン版とノストラはパラレル関係」であり、時系列的に繋がってはいないと考えていたようです。改めて読み直してみると確かにパラレルと考えた方がいいというか、むしろそれ以外の説が「オタク特有の考えすぎ」な気もします…身も蓋もないな。
この後に「原作に描かれてないなら、ファウスト博士やメフィスト、十二使徒達と山田との出会いを全部捏造してやれ!」…と描いた二次創作同人誌が『everyday magic』です。

ところで、よく考えると十二使徒が「いない」マガジン版(特撮版)山田が実は異端であって、それ以外のメシアには基本存在しているんだよなぁ…と最近思うようになりました。
…相変わらず月ドラ&伊藤をスルーして申し訳ないんですが…全員揃ってるかどうか、こいつは使徒にカウントするの?といった細かな部分が気になるというのはありますが、「使徒」という概念は最初期の貸本松下から存在していたのに、お茶の間向けにリブートされた立ち位置のマガジン版(特撮版)山田の時に一度スコン、とその概念がオミットされたというのが面白いというか、御大の才覚…!と唸ります。

 

マガジン版(特撮版)に「十二使徒がいない」理由


(1)予算、制作の都合 (2)物語の本筋の都合

…こんな感じでしょうか。
前提として先に「テレビドラマ企画」があって、それに合わせて貸本から設定が色々考え直されたんですよね?
実際、役者が演じるドラマで12人役を揃えて、毎回全員ではなくても数人出演する…を毎週やるのは厳しいはずです。ただでさえ特撮部分に制作費も割かれる訳ですし。
「悪魔くんはすごいぞ特別な子供だぞ悪いヤツをやっつけるぞ!というのを魅せる」のがドラマの本筋として、生物的には普通の人間の子供な悪魔くんを助ける頼れる味方は絶対必要だけど12人もいなくていいだろ…と呼び出す悪魔1人?1柱?にその役目&キャラクター的な魅力を12人分集めて固めた、みたいな存在として強くて頼れるちゃんとズルくてでも気の良い所もある悪魔のおじちゃん・メフィストを作ったの凄い。
お陰で悪魔くんと呼ばれる子供とそれに呼び出される悪魔のコンビに意識全集中して観ちゃう。
…その匙加減凄いな…と本当に思います。悪魔界のスーパースターだよ…しかも見た目は貸本でメシアを売ったヤモリビトなんだよ…?(個人的に「松下版にメフィストはいない」の納得なんですよね。メフィストのキャラが立ちすぎというか、色んな意味で強すぎというか、松下に対する罪を直接松下に償う事が許されなかった男の姿だと思っているので。)

マガジン版ラストで普通の子供に戻ってしまうラストも、本筋を山田とメフィスト(と百目)に絞っていたからこそ可能だったものではないかと思います。
キャラが多いと「お別れ」もそんなアッサリしにくいもんな…御大ならやってくれそうな気もするけど、この辺リブートされたのがボンボン版埋れ木のラストなのかもしれないなー、…とも思います。

 

ノストラに「ファウスト博士がいない」理由


ソロモンの笛は必要不可欠
なんですよね、メフィストを使ってる限りは。
本編中にちゃんとソロモンの笛の説明は入りますが、いつどうやって手に入れたかはオミットされています。それはノストラの本筋に必要ないから。
笛を持っていて、それを正しく使えるのは悪魔くんだけだ、という事が提示されていればそれでOKな訳ですね。そこをオミットしてしまったせいで『ノストラ版の山田は最初から全力で悪魔くん』の印象が強い、と12年前に書きました。最初からメフィストを使役し、ソロモンの笛を持ち、マガジン版ではいなかった蛙男&十二使徒までいるんですから、「悪魔くん」としては最強チートです。流石、最新であり最終作のメシア。

マガジン版既読勢は「笛は多分ファウスト博士に貰ったんだな」と勝手に補完して読んでもいいよ、くらいの扱い。
「えっ、それでいいの!?」ってつい思っちゃうんですけどね、どの悪魔くんにとっても「ファウスト博士と出会い、悪魔を呼び出す術を教えて貰い、ソロモンの笛を授かり、ファウスト博士の意志を受け継ぐ」一連のエピソードって凄く重要というか、一種の通過儀礼みたいなヤツじゃないですか…これがあって「悪魔くん」になった、みたいな。

「悪魔くんを導く指導者」という側面も、「ノストラ」では霊的存在として格上の八大仙人やキリスト&仏陀直々で話が進むし…
「悪魔くん側にいる解説役おじいちゃん枠」もノストラダムスで埋まっちゃってるので…そうか、書きながら納得したけど、「ノストラ」にはノストラダムスがいるからファウスト博士がいないんだ…

 

何故ノストラの「十二使徒」は妖怪なのか


…というより、何故全員日本の妖怪なのか、なんですよね。
百目&蛙男以外の使徒達は下巻で突然まとめて登場して「ノストラにも十二使徒いるんだ…!」とちょっとビックリしました当時。出て来ると思わなかったので。

本筋最終決戦の下敷きがヨハネの黙示録で戦う相手が邪神シーレン(=黙示録の獣)と悪魔軍団なので、悪魔くん側の味方は悪魔以外で固めてる(除メフィスト)のは理屈が通ってはいるな…人間・仙人・聖人・精霊・魔女・そして、妖怪。意識的に「日本産である」に重きを置いた十二使徒なのかな?という気もします。悪魔くん&十二使徒以外の味方をしてくれる存在達が割と綺麗に世界各地代表レベルなので。そして人間だとよほどの特殊能力がないと最終決戦で戦えないもんね…それで、妖怪。ふんわりと日本各エリアから代表して集められてる感じはあるし…それでも人選はよく判らないですが。その中でアマビエを選抜していた偶然力の強さに感服します。(2020年アマビエブーム後から振り返る)


(参考:「妖鬼化(むじゃら)」ソフトガレージ発行/「ゲゲゲの鬼太郎(5期)公式サイトキャラクター紹介」より/©水木しげる.東映アニメーション)

「ノストラ」で描かれる物語のスケールがあまりにもでかすぎるため、「ノストラのメシア(主人公)」として「十二使徒がいる」という設定自体は必要だったのかな、と思います。悪魔くんも最初からチート級である必要があったし、「ノストラ」の本筋である予言の伏線や、シーレン側の描写が優先されるべき故のファウスト博士不在。ノストラダムス大予言に従って進む物語の先で、新たな地球の救世主になる事が確定している存在としての「悪魔くん」であるノストラ山田もまた、異質な存在だと改めて思います。

 

ノストラの「蛙男」は「山田正夫」なのか


……結構このジャンル長くやってきて捏造妄想錬成もやり尽くしたつもりでいましたが、ここ、まだ深堀してなかった…!と、WEB再録作業中に頭抱えた最大のポイントです。ノストラの蛙男。お前は誰だ…どこで産まれ、どうやって山田に辿り着いた…。判らない…最大の謎だよ…………(天を仰ぐ)


原作読み返すと、山田十二使徒がオール人外なせいか、蛙男がもの凄く「普通の人間」に見えるんですよ…入らずの森で山田がピンチになった時も自分では何も出来ずに助けを呼びに行っちゃうし、松下の所の蛙男と違って特に魔術を使うシーンもないし…影が薄いと言われながら(※私個人の感想です)も他の使徒には全員戦ってるシーンがあるのにビックリするレベルで戦ってない。蛙男。彼がふるう攻撃は全部メフィストに向ってる(なぐったり笛を吹いたり)の地味におかしくて笑う。

松下の所であの狂信と執着を見せる魔術師が、山田の所に来るとまるで忠誠心はそのままに「人間代表」みたいな立ち位置に収まっている因果というか巡り合わせ。結局お前は山田正夫なのか…?蛙男なのか……?いつどうやって山田に辿り着いた…??
(山田がどっかから器用意して蛙男の魂を甦らせた説は100%無い前提ですけども)
(いや流石にそれは…ないよね………)
その「普通の人間」っぽさがあるので、ノストラ山田が初めてメフィストを召喚出来た時に居たのはマガジン版の貧太ではなく蛙男でもおかしくないな、と思います。ふんわりと「松下版とマガジン版山田の折衷案」という感覚で。

…蛙男と同じ姿形をした使徒が、ヤモリビトと同じ顔した悪魔とキャンキャン喧嘩して殴り合ったりしてるの、すごいな…?
(脳内で駆け巡る貸本〜千年王国〜世紀末大戦の2人)
(目頭押さえ)

 

メシアに巡り会った(使徒になった)順番…?


結局は判らない。どうやっても捏造の域を出ない。
蛙男、メフィスト、百目でワンツースリーだといいな。そうやって考えるのはとても楽しい。
そして「最後がダニエル」という事がハッキリしていれば「ノストラ」の本筋としては不足が無いのでそれでいいのだ…。

でもやっぱりノストラでも「第○使徒」とか呼びたいじゃん!呼びたいじゃんね……